先日の日経新聞で
「厚生労働省が中小企業退職金共済制度の退職金を減額する検討を始めた」
という記事がでていました。
「中小企業退職金共済制度」いわゆる『中退共』は、
自前で退職金制度をもつことが難しい中小・零細企業のために設けられた制度で、
企業側、従業員側ともにメリットがあり、利用している中小企業者も多く、
この記事の行方が気になる方も多いのではないのでしょうか。
ちなみに、一般的にいわれる『中退共』のメリットには、
【企業側のメリット】
① 掛金を全額経費として計上できること。
従業員の退職金を支払うために、と貯金をしても経費にはならないですが、
共済への掛金は全額経費になります。経費になれば相応の節税になりますよね。
② 掛金月額の選択幅が広いこと。
16種類の掛金月額から従業員ごとに選択することができます。
③ 国の制度だから安心。条件がそろえば、国から掛金の一部を助成してもらえます。
など・・・。
税理士事務所としては、
中小企業者が従業員の福利厚生を希望していることを前提として
節税対策に利用することもあります。
※必ずしも節税対策にはなりませんのでご利用される際には税理士にご相談ください。
ですが、中小企業者にとっての一番のメリットは
『中退共』に加入している会社・個人事業主のもと、「定年まで働こう!」など、
従業員のモチベーションUPにつながることかもしれませんね。
【従業員側のメリット】
① 退職金は通常の給与でもらうより税務面でかなりお得であること。
なぜお得かということは、長くなるので別の機会にお伝えしますね。
② 毎月の掛金は全額事業主が負担して退職した際には中退共から直接支払われること。
会社の状況に影響されないので、従業員にとっても安心です。
このような理由により多くの中小企業が加入されています。
注釈が長くなりましたが、日経新聞の記事に話を戻しますと、
近年、厚生年金基金などで年金資産の運用難が騒がれていますが、
「中退共も同様に深刻な積み立て不足に陥っていることから、
中長期にわたり持続可能なしくみに改める」というものです。
これらの事情もよく理解できますが、
中小企業者にとっての味方であるこの制度、
行方をよく見つつ、うまく活用していきたいものです。
中小企業退職金共済制度の詳細については、
こちらへ ⇒ http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/download/pdf/aramasi.pdf