平成28年度の税制改正大綱で、「企業版ふるさと納税」の創設が盛り込まれ、
話題となっています。
「ふるさと納税」といえば、個人が自治体に寄付をすることで、
所得税や住民税が減税されることに加え、
寄付のお礼として、その自治体の特産物などが特典としてもらえるため、
近年人気が高まっている制度です。
1年間で10億円以上の寄付が集まった自治体もあるそうです。
その制度を企業にも適用し、企業から地方への資金移動を増やして
地方の活性化につなげる狙いがあるようです。
現行案は、企業が自治体に寄付した場合、
寄付金額の30%を法人税等から差し引けるようにするものです。
もともと、企業が国や地方公共団体に寄付金を支出した場合、
寄付金額の全額が経費として認められますので、
法人税等の税率を約30%とすると、30%は税金の軽減となっていました。
つまり、この制度が施行されると、合わせて約60%の税金が軽減されることとなり、
例えば、100万円を寄付すると、約60万円の税金が減額されます。
(個人のように、寄付した金額の全額に近い節税効果はありません。)
ただし、財政に余裕のある自治体や、本店の立地のある自治体などは
対象外となる見込みですので、寄付先にも注意が必要です。
また、お礼の特産物などの特典も、企業に見返りを与えてしまうと
企業と自治体の癒着が出来てしまうなどの問題もあるため、
お礼の禁止規定を設けることも検討されています。
個人でも企業でもそうですが、「寄付」のそもそもの目的は
応援したい自治体への貢献ですので、
節税だけを考えるのではなく、寄付の本質を見失わないようにしたいですね。