先日、国税庁から定期保険、第三分野保険に関する通達が発表されました。
前々から伝えられていました、定期保険又は第三分野保険
(最高解約返戻率50%超の定期保険等)につきましては7月8日以後契約分から
保険料の一部を資産計上することが原則となりました。
さらに、解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険
(短期払のがん保険等)につきまして,年間の支払保険料の合計で30万円以下であることが
支払日の属する事業年度で損金算入を認められる要件の一つとなりました。
こちらは突然新たに追加されたということからか、10月8日以後契約分から適用となります。
保険料の払込期間が短期で行われる保険商品を指します。
このタイプの保険につきましては、平成24年の終身がん保険に関する通達に記載された
例外的取扱いとして全額損金とされていましたが、保険料の全額を損金算入しておいて,
払込期間の終了後に法人から個人へ名義変更し、社長個人の保険料等の負担を無くしてしまう、
といったスキーム等に利用されることもありました。
そこで、今回の法人税基本通達9-3-5に追記し、被険者1人につき支払保険料が
年間30万円以下(全保険会社合計)の場合には都度損金を認める、
という規定に改正されることとなりました。
これにより、年間の⽀払保険料30万円超の「短期払のがん保険等」については,
⽀払⽇の属する事業年度での全額損⾦算⼊は認められず、また、保険料の払込期間終了後も
保険期間の経過に応じて保険料を損⾦算⼊する必要が出てきます。
具体的には,終⾝の第三分野保険は「保険期間開始⽇から
被保険者の年齢が116歳に達する⽇まで」を保険期間とみなすため,
(116歳-加⼊年齢)の期間にわたって毎期損⾦算⼊することとなります。
従来の保険を使った「節税スキーム」は、当然キャッシュアウトを伴うものであり、
法人や個人に資金が潤沢にない場合には旨味がない、もしくは逆効果である点や、
保険本来のあり方を逸脱し、事実上、法人に損失を生じさせ、利益を個人に移転させることが
道義的にどうなのかを考えると積極的にお勧めできないものでした。
今回の法基通9-3-5等の改正では、「節税スキーム」として保険を利用しようと考えている
場合のみならず、純粋に必要な保険に加入しようとしている場合につきましても、
この10月8日以後の取扱いが変わることとなりますのでご注意ください。